大判例

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福岡高等裁判所 昭和27年(う)3194号 判決

論旨は原判示牛草史郎雄は官の認許を受けて特殊喫茶店を営んでいるのであるから、その営業に従事することは公衆道徳上有害な業務ということはできないし、又同店に働く給仕婦はたとい売春行為をしてもこれが取締の行われていない状態にあるにも拘らず、これを公衆道徳に有害な業務なりと断ずることは特殊喫茶店の存在が公衆道徳に有害なものであるとするもので独断軽卒であると主張するのであるが、記録によると牛草史郎雄は風俗営業取締法第一条第一号にいわゆる「待合、料理店、カフエーその他客席で婦女が客の接待をして客に遊興又は飲食させる営業」と同種の営業が許可されていることが認められるので同営業を目してもとより公衆道徳上有害な業務ということはできない。しかし牛草史郎雄が該営業を営むにあたり、その雇用する婦女をして客に密かに淫をひさぐことを業務と為さしめることは全く認許されていないことが明かである。従つて婦女の雇用者の業務が正当な職業として認許されていることによつて被用者の婦女が売淫の業務に従事することを以て公衆道徳上有害なものでないと断じ得ないのみならず、婦女の売淫の業務はこれを放任するときは性道徳を頽廃させ、両性の本質的平等の基本権に悪影響を及ぼし、延いては社会共同生活に著しい弊害を与えることは論を俟たないところこれが公衆道徳上有害な業務であることは健全な社会通念の是認するところである。しかも職業安定法第六三条第二号は、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行つた者はこれを一年以上十年以下の懲役又は二千円以上三万円以下の罰金に処する旨規定しているのであるから、同法条に違反した場合はその違反罪が成立することはいうまでもなく、たとい雇用者が正当な職業として認許された風俗営業を営むものであると否と、又客に売淫させる業務に就かせる目的をもつてする職業紹介が求職者たる婦女の希望によるものであると否と、はた又、売淫の業務に対する官憲の取締の寛大であると否とは前記違反罪の成否に何等の影響を及ぼすものではない。

(後略)

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